著作犬の問題とか

bbb_tomo2004-06-05

■ネットで普及する音楽「マッシュアップ」は著作権の常識を変えるか(冒頭の写真はhttp://www.dogoo.com/toukou/kanban/kanban.htmより。)

   片方の曲からメロディーを、もう一方の曲からボーカルを取り出すなどの手法で、2つの曲を1つに合わせて新しい曲を作る「マッシュアップ」という手法が注目を集め、音楽関係のブログなどで広まっている。デビッド・ボウイ主催によるマッシュアップ・コンテストも先ごろ開催された。しかし、こうした作品はほとんどの場合、オリジナル・アーティストの許可を得ていないため、著作権法に基づいて訴えられる危険がある。http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/20040604204.html


アメリカでは、以前からかなり活発に議論されている著作権問題。個人的にはこの記事の中のDJウーのPavementが気になるところ。こういう手法がデヴィッド・ボウイや大手自動車会社のタイアップで支えられてるというのがかなりミソですな。

 日本では一般層のオーディエンスを巻き込んでかなりもりあがった(ように思われる)今回の議論でしたが、結局、「著作権を変える法律」参院で可決されましたね。自分はあまりメジャーの音源をほとんど買わない(し、基本的に日本のメジャーのアーティストの安い流入盤が増えようがどうでもいい)人なので、むしろ、変なとばっちりで、自分が普段接する音楽が聴けなくなるのがいやで法案には反対でした。にしても、あまりにも焦点がぼやけた問題だなあと。国会での答弁なんかみてると、レポートの書き方勉強してきてください、といいたくなるようなわけのわからなさで。いったい、この法律によって、誰が、どのような恩恵を受け、何の目的があるのか?ということがずえーんずえんわかりまへんですた。 


*先の法案の理由に関して

 「著作権制度をめぐる内外の情勢の変化に対応し、著作権等の適切な保護に資するため、専ら国外において頒布することを目的とする商業用レコードを情を知って国内において頒布する目的をもって輸入する行為等を著作権等の侵害行為とみなすこととするとともに、書籍又は雑誌の貸与について貸与権が及ぶこととし、あわせて著作権等を侵害した者に対する罰則を強化するための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15905091.htm

変化しつつある情勢に対応するためにシステムを変革するということ、この要請はどんな時代にも存在する。しかし、ただ「法を変えればよい」という事態がよく誤導される。当たり前だけど、変えりゃいいってものじゃない。ヒトラーだって世界「変えようとした」んだから。

法が現実に対応していないから法を変えなければいけない、と言ったとき、もっとも必要な議論は、現実がわれわれの旧来の法認識を逸脱する中で、われわれの認識の枠組み自体がどのように変化し、システムに何が必要なのかということである。今回の法改正は、まるでこの議論がなされていない。つまり、現実が旧来の法に沿わなくなったという事態に対し、新たな認識を基にした法改正ではなく、旧来の法認識(もはや役立たずになった)を保つための法改正である。

事実、もっとも中心的な議題である、著作権とは何かということについては、まったくといっていいほど議論がなされていない。たとえば、当たり前のように語られる「創造性」という近代的な産物が著作権制度を支えているのではあるが、その「創造性」というコンセプトがあいまいになってきたからこそ、現実の問題が発生しているのであり、「「創造性」を厳守しましょう」という名目の法改正は、まったく解決になっていないことは明らかである。昨今のWINNYの開発者逮捕も見切り発車的に行われており、実際の問題の解決につながるのかというのは非常に微妙。


*西高東低の企圧配置?

今回の法改正は米国の5大メジャーレーベルと、国内の関連レーベルには多少恩恵があるのかもしれない。底冷えのレコード業界は、不況やコピー、ダウンロードなどの複製技術の進歩をその理由に挙げている。しかし、これだけレコードが売れないのは、消費者の嗜好が拡散し、旧来のメジャーのマーケティングではカヴァーしきれなくなってきた、等の理由があげられるが、それ以上に確実なのはメジャーの作品の多くがつまんないからだ。そんなことにも気づけないメジャー作品は売れなくて当然。それを他人に当てこすりして、自分の権益だけ守ろうとしたって、先は見えているなぁ。

 さらに不思議なのは、国内の著作権の保護をうたいながら、実際には「米国5大メジャーにお伺いをたてる」法律であり、国内の音楽産業にとって利益があるのかどうかも怪しい。経済的優位な国は、文化的影響力が比較的強く、文化商品を輸出する。日本はこれまで欧米の文化商品を輸入してきた。「還流商品」を防ぐために、説く協調には、「米国にやられたこと」をアジア諸国にやり返そうとしているような意図も取れる。つまりは、持続可能な搾取は認めるが・・・ということか。しかし、当の一番得するはずの5大メジャーにとっても結果的にあまり恩恵があるとは思えないけれど…。こりゃあ、だんな、いよいよそういう時代に終わりが来たのかも知んないすね。