*Said, W. Edward (1993) Culture And Imperialism. New York: Vintage
"Contrapuntal analysis(対位法的分析)"を用いて植民地主義と文化の関係を明らかにしている。文化がつねに優勢な力と劣勢な力との間のヘゲモニー(移動的均衡)で成り立っており、multipleな立場を対位法的に確認しなければならない。→Q:サイード自身の立ち位置は?サイードの言説の西洋での受容のされかたは? サイードが排除しているものは?

*Samantrai, Ranu. (2002) AlterNatives: Black Feminism in the Postimperial Nation. Stanford: StanfordUniversity Press.

最近のカンファレンスで、『Anyway, do we need subvaltern studies?(伝聞なので不正確ですが)』という発表をおこなった著者による、the black British women's movementの考察。上述書との関係で述べるなら、サイード帝国主義に対する回答(多様な他者の肯定)が掛け声として流通するようになり、アイデンティティ・ポリティクスに基づいた逆説的な問題を増殖させた。それに対し、著者はなぜ協和的希望(完全な合意的社会という)が誤った方向へ導かれるのかを分析。 不合意の源の増殖がリベラルで民主的な国家がその政治的契約を保つことを可能にすると議論する。リベラルやコミュニタリアンによる理論家(ハーバマスとか)によるマジョリティ/マイノリティ間の和解という解決を避け、偶有的個人と集合的主体群(contingent individual and collective subjects)というポスト構造主義者の分析に基づいた民主主義のradicalizationを提示。